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薬学生が薬に限らず色々発信しよう!というブログです。

そもそも薬ができるのにどれくらいかかるの?

 

 

 5月25日新型コロナウイルス対策として政府がとっていた緊急事態宣言が全国で解除となりました。

 しかし他国では第2波が来ているところも多くまだまだ油断できない状況が続いています。

 そんな中この期間中「薬はまだできないのかな?」、「そもそも薬はどれくらいででぃるのかな?」と考えた人もいると思います。

 

 今日は治療薬やワクチンが企画してから販売できるまでの過程を書いていきたいと思います。

 

 薬ができるまで時間やお金はどれくらいかかるの?

薬が開発されるまで・・・

9~17年

開発費用は・・・

約300~500億円

そして候補物質が医薬品として流通する確率は・・・

3万分の1

 

 ざっくりと書きましたが、これだけでも薬が作ることの難しさがわかると思います。

 

 では次にもう少し詳しく見ていきます。

 

 

  医薬品開発の流れ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

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(1)研究開発の企画

 生体や疾患の仕組みが明らかになるにつれ、医薬品の作用機序も明確化されてきま  した。現在では、多くの医薬品が人の生体内に存在する特定の分子(受容体、酵素、ト ランスポーターなど)に作用して薬効を発現する機序を有しています。

 医薬品開発においては、まずこのターゲット(標的分子)を選択するとともに、医療現場でのニーズや技術水準などの背景を考慮して、研究・開発が期待されます。

 

 

(2)基礎・探索研究

 選択された標的分子に作用して薬効を示す候補物質の探索が行われます。製薬企業などが有する化合物の一覧から特定の物質を選択あるいは創製し、様々な審査をします。

 そして、そこで得られた化合物をさらに評価し、最適化するための研究を実施し、医薬品の候補化合物を得ます。

 

 

(3)非臨床試験

 非臨床試験は簡単に言うと、人間に投与する前に安全性や有効性を確認するために

動物を用いて行う試験です。非臨床試験では大きく以下の4つに分類されます。

  • 薬物動態試験
  • 薬理試験
  • 毒性試験
  • 製剤化試験

 

 薬物動態試験

 被験物質の体内でどのように吸収され分布代謝または排泄されるかを明確にするための試験です。

 

 

 薬理試験

 薬効薬理試験、副次的薬理試験、安全性薬理試験に分けられます。

 

(a)薬効薬理試験

 目的とする疾患への効力を裏付ける試験です。

 

(b)副次的薬理試験

 目的とする疾患以外への作用を調べる試験です。

 

(c)安全性薬理試験

 薬物の生理機能に望ましくない薬力学的特性を調べる試験です。

副作用の一種

 

 

 毒性試験

 一般毒性試験と特殊毒性試験に分けられます。

 一般毒性試験は、薬物を単回または反復投与した際の毒性を質量的に明らかにします。

 特殊毒性試験は、変異原性、発癌性、生殖毒性、遺伝毒性などの特殊な観察によって評価される毒性を調べる試験です。

 以下に試験一覧をを並べますが、必ずしも全部やる必要はないです。

 

  • 遺伝毒性試験
  • がん原生試験
  • 生殖発生毒性試験
  • 局所刺激性試験
  • 免疫毒性試験
  • 光安全性試験
  • 依存性試験

 

 製剤化試験

 医薬品の候補化合物の性質・性情を精査し、予想される対象疾患などから最適な製剤設計を行います。

 製剤については、その物理化学的性質、規格、および安全性などに対する試験が実施されます。

 安定性試験では、長期保存試験苛酷試験加速試験などがあり、時間や温度を変えて、その薬物の安全性を確かめます。

 

 

  (4)臨床試験(治験)

 臨床試験は非臨床試験の後に実施されます。

 非臨床試験では動物への実験でしたが、臨床試験は初めてヒトに対する実験となります。

 臨床試験は大きく4つの段階に分類されます。(第Ⅰ~Ⅳ相試験)

 

・第Ⅰ相試験

 第Ⅰ相は、治療薬を初めてヒトに投与する段階で、主に臨床薬理試験というものが行われます。

 主に健康の成人に対して安全性や忍容性を確認します。

 

・第Ⅱ相試験

 限られた数の患者を対象として、治療薬の治療効果を探索するとともに安全性を検討する段階で、主に探索的試験というものが行われています。

 ここでは、適応症、投与量、および投与方法の妥当性も検討されます。

 

・第Ⅲ相試験

 第Ⅱ相までに得られた情報をもとに、対象とする適応症への有効性と安全性の検証を行う段階で、主に検証的試験が行われます。

 すでに有効性の確認された標準薬を対照とする、比較対照試験や、

 慢性疾患の治療を目的とする薬には長期投与試験が行われることもあります。

 

・第Ⅳ相試験

 市販された後の時期を指します。

 用法や用量を確実にし、また出現頻度の低い副作用の検出を行います。

 

基本的には、このように段階ごとに分けられていますが、実際は状況によって、順番が変わったりもします。

 

 

(5)承認申請・製造販売

 臨床試験が終わると、次に新医薬品の製造販売承認を厚生労働省より得るために、承認申請をします。

 そしてこの情報は新薬のこれまでの過程で得られた、すなわち品質に関する情報であり、販売などに関する情報はこの時点では必要ないです。

(薬の値段とかは必要ない!)

 

 必要な資料は基本的に決められているので良かったら、検索してみてください。

 量が多いのでここでは省かせていただきます。

 

 

 そして厚生労働省から許可が出ると、厚生労働省により薬価の設定と、薬価基準収載され、ようやく薬の販売ができるようになります。

 

 

(6)製造販売後調査

 製造販売後に新たにわかることもたくさんあります。その得られた情報を収集・分析・評価するために様々な制度があります。

 

 以下にその制度の名称と概要を示します。

 

副作用・感染症報告制度

 治験の段階では明らかになっていなかった副作用が発現したとき、その詳細などを報告して、今後の適切な使用に生かすための制度。

 企業報告制度、医薬品・医療機器安全性情報制度、WHO国際医薬品モニタリング制度の3つから成り立っています。

 

①企業報告制度

②医薬品・医療機器安全性情報制度

③WHO国際医薬品モニタリング制度

 

再審査制度

 新医薬品について、厚生労働省が製造販売業に対して一定期間(4~10年、通常は8年)の調査を義務付け、その結果をもとに有効性や安全性の確認が行われます。これが再審査制度です。

 報告時期は厚生労働省が指定した日から2年間は半年ごと、その後は1年ごととなっている。

 

再評価制度

 すでに承認された医薬品を厚生労働省が有効性や安全性を見直すための制度です。

 主に以下の2つ方法で行われます。

 

①すべての医薬品について5年の感覚で定期的に繰り返して見直しを行う定期的な再評  価

 

②緊急な問題が発生したときに行われる臨時の再評価

 

 

 これらの再審査や再評価の中で必要な情報を集めるために、以下の調査や試験を行う。

 

使用成績調査

 患者の条件を決めずに日常で医薬品を使っていく中で、薬物による疾病などの発現状況や、品質、有効性及び、安全性に関する情報、その他の適正使用情報の把握のために行うものです。

 

特定使用成績調査

 使用成績調査のうち、特に小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害または肝機能障害を有する患者などの使用する条件を定められた患者を対象として行うものをいう。

 

製造販売後臨床試験

 前述の2つや治験などで得られた推定を検証するため、または診療において得られない適正使用情報を収集するために行う臨床試験です。承認された用法、用量、効能及び効果に従って実施する。

 

 

まとめ

以上が薬ができるまでの過程になってます。

今回はすごい簡単な説明でしたが実際はもっと複雑です。

ですが薬が開発されるまでにこれだけの過程があると思うと、コロナウイルスの治療薬を今急いで作っていて、もう少しでできるというのはものすごいことですね。